花と建築 静岡いけばな行脚 第3回(4月5日掲載)
若手華道家、建築家の辻雄貴さんが県内の建築を巡っていけばなを制作するシリーズ「花と建築」。草木が芽吹き、華やかな季節を迎えた4月。主役はやはり、サクラ。
<紙面掲載の写真。花材は、しだれ桜、吉野桜、ポリシャス、リューカデンドロン>
ピンクと白のグラデーションには、春の到来を感じさせる軽やかさと華やかさがあります。花器の骨董品もすてき。その中で、背景にある赤い絹地の壁も、強い存在感を放っています。
今回の撮影地は、熱海市の旧日向別邸。ここの「地下の離れ」は、ドイツ人建築家で、桂離宮を評価したことでも知られるブルーノ・タウトの設計。日本で唯一現存するタウト建築です。
「地下の離れ」の中央部にある「洋間」。別名、「モーツアルト」の部屋。なぜか、音楽家の名を冠しています。深紅の絹を用いた壁が強烈な印象を持ったこの場所で、辻さんは制作を始めました。
紙面に掲載された写真と、この写真(↓)とは何かが違います。
それは、しだれ桜の枝の左部分。撮影の途中で、辻さんが「枝を切っていいですか」と。一つの枝の長さを変えるだけで、すっかり変わった印象になりました。
場の強烈なインパクトを感じながらの制作と撮影。カメラマンもさまざまな角度から撮影を始めて、額には汗が。不思議な高揚感がありました。
正面からも1枚。
旧日向別邸の外観。海を見晴らす高台にあります。
撮影日も、一般のお客さんが見学に訪れていました。屋内の見学予約は熱海市役所へ。
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