クロード・レジ「神の霧」上映会へ
6月30日まで行われている静岡県舞台芸術センター(SPAC)主催「ふじのくに⇄世界演劇祭2013」。国内外から8演目が集う、夏の恒例イベントです。
最大の目玉は、フランスの演出家クロード・レジさんが約30年ぶりに手掛ける「室内」。15日から23日にかけて全4公演行われますが、残念ながら入場券は完売とのこと。仕方がないので(?)、彼の表現の一端を知るべく、彼が演出した舞台を映像に収めた「神の霧」の上映会に行ってきました。
(写真)森林や茶畑の間を抜けて会場まで歩くことも楽しみの一つ=静岡市駿河区の舞台芸術公園
会場は稽古場棟「BOXシアター」。9日の公演はほぼ満席でした。原作はフランスの詩人タリエイ・ヴェースオースの連作「鳥」。全編にわたって出演俳優のロラン・カザナーヴの独白が続きます。極端に照明を抑えた薄暗い舞台を写した映像には英語の字幕。観客は、極端にそぎおとされた素材からイメージをふくらませるのです。
余計な装飾がない分、言葉と登場人物の表情に意識が集中する、という仕掛け。漆黒の闇から薄暮に近い薄暗さまで、背景の「黒」の多様さも見どころの一つだと感じました。
個人的にはイギリスの映画監督デレク・ジャーマンの1993年作品「ブルー」を想起しました。穏やかな黒、激しい黒。同じ色にさまざまな感情の抑揚を込めた「神の霧」は、決して親しみやすくはないけれど、鑑賞後に長い余韻がある作品です。
15、16日にも上映があります。「室内」の入場券が手に入らなかった方も、足を運んでみてはいかがでしょうか。
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