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現代美術家・丹羽勝次さんインタビュー(続編)

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 7月12日夕刊「文化・芸術」面の、現代美術家丹羽勝次さんのインタビューこぼれ話の続編です。中心にいたのは、当時静岡市に住んでいた美術評論家石子順造さんでした。 

「彼との出会い、幻触の活動を通じて、自分を全部真っ白にして今までのしきたりや経験をすべてゼロにしちゃうしかないなあという気持ちになったんです」

 1966年、丹羽さんはそれまで10年連続して出品してきた「新制作派協会展」をやめ、それまでの入選作品を含む油絵を天竜川の河原で焼いてしまいました。

「毎年100号の作品を3枚も4枚も描いていたけれど、いったいこれはなんだったんだろうと思ったんです。入選作をほめてくれる人もいたけれど、そんなことで満足していたら新しい自分に生まれ変わることができない。だったらいっそのこと、今までの作品を全部なくしてしまおうと。しまい込んだだけではいつか引っ張り出す。だったら全部、燃やしてしまえと」

次々と燃えていく自分の作品。

「煙が上がるし、灰は飛んでいくしで、何とも言いようのない気分だったことを覚えています。でも、悲しみの感情は、今どう思い返してもなかった。後悔の念は全くありませんでした」
  
 自分の過去を捨てさった丹羽さんは、絵筆を捨て、新しい美術の可能性や手法を追求します。代表作「ON and OFF」や「道」は、そうした試行錯誤の末に生まれたものです。

「石子さんは『美術の現代』という言葉を盛んに口にしていた。『現代美術』じゃないんです。その時、その時の『今』が課題。テーマは『今』」

丹羽さんの個展「WHAT’S GOING ON『ON and OFF』から塩の道へ」は、静岡市清水区のフェルケール博物館で28日まで開催されています。(橋)

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