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「しずおか連詩の会」参加詩人(4):福間健二さん

 11月21日から創作が始まる「しずおか連詩の会」。5詩人の代表作、新作を紹介するシリーズの第4弾です。第1回はこちら、第2回はこちら、第3回はこちら。コメントはあくまで(橋)の感想です。

福間健二(ふくま・けんじ)「現代詩文庫156 福間健二詩集」(思潮社、1999年)

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 1970年前後から1991年の詩作、エッセーや映画評、3人の評者による詩人論が収録された、音楽に例えるなら「ベスト盤」的内容です。ボリュームたっぷりの2段組160ページ。巻末の評者の一人、新井豊美さんが述べていますが、とにかく「莫大な詩的エネルギー」を感じる1冊です。

 

 特に初期の作品は、読み手に緊張を強いる表現が頻出します。死、性、暴力、欲望に満ちています。残忍で過酷な言葉が、難解な比喩とともにためらいなく用いられます。私は、ロックバンド「スターリン」を思い出しました。

 でも、不思議なことに、そんな目を背けたくなる描写を声に出して読みたくなるのです。89ページからの「地上のぬくもり」は、改行なしの長い詩が7編続きます。どろっとした情念を感じる、まるで悪夢のような場面ばかり。それでも、朗読してみると明らかに「快感」「爽快感」のようなものがあります。
 巻末で評者の瀬尾育生さんは、そんな手触りを「フィジカルな何か」と言っています。これも、現代詩のだいご味の一つなのでしょう。


人間たちがやってくる。疲労と絶望の芯から炎をだして。
徐々に顔がくずれ、だれの子かわからなくなった人間た
ちが。ただ服を着て息をしているというだけの人間たち
が。ぼくのホテルに。心臓の廊下に。心臓の階段に。心
臓の屋根裏に。母親の記憶を失って。人間たちが。憂い
にみちた奇形の子どもを見るために。自分たちだって、
耳や鼻がぽろっと落ちたりして醜いのに。肉が見えて。

          (「地上のぬくもり~ 1 ハートブレイク・ホテル」の一部)


 「しずおか連詩の会」は5詩人が3日間で40編を創作します。完成した連詩は24日午後2時から、静岡市駿河区のグランシップで発表。入場は事前申し込みが必要です。詳細はこちらを参照してください。(橋)

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