SPAC「サーカス物語」を巡る対話(下)
11月3日、県舞台芸術センター(SPAC)の「サーカス物語」終演後のアーティストトーク抄録第3弾です。(第1弾はこちら、第2弾はこちら)
振付家でダンサーの北村明子さんは11月末、「サーカス物語」演出のユディ・タジュディンさんをドラマトゥルグと演出に起用した舞台作品「To Belong-cyclonicdream-」を上演します。
2011年からインドネシアとの交流プロジェクトを推進している北村さんは、同国との関わりの端緒を次のように語りました。
「2004年にインドネシアに行く機会があった時に、(古流武術の)『ペンチャック・シラット』に出合いました。もともと武術には興味があって、最初は振付家としての視点で役立つものがないかと思って見ていたんです。ところが、動きに圧倒されてしまった。美しい上に、ある種の強い精神性が働いている」
「帰国後、在日のインドネシア人の師匠に、ペンチャック・シラットを習い始めました。異物として入ってくるものと、自然に入ってくるものの両方がある。体と体のコミュニケーションを成立させる上で、グッとくるものがありました。そこから(インドネシアに)ずぶずぶと入っていた。不思議な出会いでした」
2国をまたいだ今回のプロジェクト。どのように進められているのでしょうか。
「最初にインドネシアでお会いした時に、私なりの問題意識やテーマをお話ししました。その後はEメールなどウェブツールを使ってやりとりをしました。全体の構成のようなものをユーチューブにアップして見ていただいたりもしました。こういうことを目指してやっている、と。そうすると、意外な辛辣な言葉が帰ってきて(笑)。私が当たり前に思っていることをガラガラッと崩されるようなことを言われたんです。しかし、それこそが私の求めていることでした」
「10月末から稽古場に来ていただいた。ユディさんは、あらゆることを書きとめて、作品の構成を理論的にザーッとまとめ直してくださった。もともとは自分の中から出た表現ですが、こんなふうに整理するんだという驚きがありました」
映像、音楽、ダンスを融合した同公演は11月28、29日、茅野市民館マルチホール(長野県)で行われます。詳細はこちら。(橋)
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