SPAC「忠臣蔵」を巡る対話(上)
12月14日に開幕した県舞台芸術センター(SPAC)の「忠臣蔵」。平田オリザさんの脚本を、SPACの芸術総監督を務める宮城聰さんが演出。赤穂藩の武士たちが、「討ち入り」を決めるまでの合議を、ユーモアたっぷりに描いた舞台です。
初日の終演後、「アーティストトーク」として宮城さんと、作家の山崎ナオコーラさんが対談しました。3回に分けて抄録をお届けします。
公演は12月21、22、23日と続きます。(橋)
司会(SPAC文芸部大岡淳さん):作品をご覧になった感想を。
山崎:ものすごく面白かったです。舞台のみならず劇場全体に緊張感がみなぎっていて、役者さんの動作一つ一つがリズミカルで。空気がピンと張っている中で爆笑させられっぱなしでした。
司会:あの「緊張感」は狙って作り出したものなんでしょうか。
宮城:(作品で設定された元禄時代について)100年戦争をしない状態ってどんなだろうと考えました。侍というのは本来、人を殺すことでお金をもらっていたわけです。でもそれがない。だがそんな時代でも田舎の侍は人を殺す技術を磨くべく、朝稽古をやっている。技術は磨いているのに目的がない。それがそもそも、この芝居の一番面白い所じゃないかと思うんです。いわば「徒労感」。これは、今日を生きている人間の多くが抱いている感覚と通底するんじゃないかと。
山崎:忠臣蔵のストーリーって有名ですよね。でも昔から、人殺しの話なのに「いい話」のように伝えられていることに違和感を感じていました。それが肯定されたような思いです。
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