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SPAC「忠臣蔵」を巡る対話(中)

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 12月14日に開幕した県舞台芸術センター(SPAC)の「忠臣蔵」。同日に行われたSPAC芸術総監督の宮城聰さんと、作家の山崎ナオコーラさんによるアーティストトークの抄録第2弾です。第1弾はこちら。(橋)

 

山崎:宮城さんは、自分が死ぬことを考えたりするんですか?

宮城:うーん。先のことは考えないように生きようとしていますね。考えていたら芝居なんかできないぞ、と。

山崎:全く考えない?

宮城:大学ぐらいから、自分があまり変わっていないような気がするんです。影響を受けた先輩がだいたいまだ、ご健在で。そういう意味では、すごく運がいい。でも、もうぎりぎりなんです。

司会(SPAC文芸部大岡淳さん):山崎さんは個人の死を主題にして小説を書いたことはありますか?

山崎:死にたくないっていう主人公が多いですよね。

司会:ある意味、今回の「忠臣蔵」はひどい話ですよね。集団テロのような。死に場所を見つけた男たちの話です。これに対して、山崎さんの代表作「人のセックスを笑うな」は美術の専門学校の生徒と先生の恋愛。お互いの心の内をのぞき込むわけではない。

山崎:たいしたことはおきないですね(笑)。

司会:平和な時代という言い方をするなら、戦争がない時代の中に生きている二人の恋だと思います。

山崎:まさしく現代風の話ですね。宮城さんに質問してみたいんですが・・・。忠臣蔵を現代に上演することの意味ってなんでしょう。

宮城:舞台になった元禄時代というのは、100年も戦争をやっていないんです。戦争は遠くなった。軍隊もあまり見ない。そうした状況は、われわれとそれほど違っていない。
実は「仮名手本忠臣蔵」は討ち入りの50年後に書かれているんです。当時の観客にしてみれば、われわれが朝鮮戦争について感じるような事件だと思います。すでに「今の話」じゃない。でも自分の事っぽい感じがするエピソードがちりばめられている。

 

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