下村観山展、記者が薦める見どころ(上)
駿府博物館の特別展「KANZAN 第3の男・下村観山」が1月18日に開幕しました。筆者独自に見どころを紹介します。(橋)
今回の展覧会の目玉の一つが、一番奥に展示されているびょうぶ「三保富士」(1919年)です。担当学芸員の話によれば、観山は横山大観らと複数回、東海道のスケッチ旅行に出掛けており、その際好んで静岡市周辺に滞在していました。この作品も、そのときの素描がもとになっているのでしょう。
特徴的なのは富士山。てっぺんだけがドンと描かれ、なだらかな山すそはすっぱりカットされています。観山にとって富士山は「高くそびえるもの」という認識だったのでしょうか。
三保の松は岩絵の具の効果で、正面からは黒に、横からは緑色に見えます。ぜひ立ち位置をいろいろと変えて鑑賞して下さい。
続いては「達磨」。1914年に描かれた下絵と、完成作品を並べて展示しています。
よく見ると、主題の達磨和尚の位置が違いますね。下絵に比べ、少し上がっています。03~05年に国費でイギリス留学をしている観山。洋画の影響が、こうした構図の造り方にも現れているように感じます。
細かい点ですが、草履の描き方にも注目です。裏側にはなおの結び目が1カ所しかありません。通常は3カ所あると思うのですが・・・。あえてこうしたのか、「書き忘れた」のか。観山の心境に思いを巡らせながら鑑賞すると、ぐっと親しみがわく作品です。
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