連弾の不思議

 1月24日、三島市の三島市民文化会館で行われた仲道郁代さんと横山幸雄さんのピアノデュオ・リサイタルに行ってきました。(橋)

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 2人がこうした形でコンサートを開くのは「4~5回目。とにかく両手で数えられる回数まではやっていない」(仲道さん)とのこと。「20本の指をお楽しみ下さい」という仲道さんのあいさつが印象的でした。
 
 舞台上にはピアノが向かい合わせに2台。ただ、2台を同時に使う曲はラヴェル「ラ・ヴァルス」だけで、ラフマニノフ「ピアノ連弾のための6つの小品」、シューベルト「ピアノ連弾曲『幻想曲』」など、連弾が半分以上を占めていました。
 
 88の鍵盤をフルに活用した連弾曲。左端の超低音域、右端の超高音域といった、普通のピアノ曲では使用頻度が低い鍵盤も大活躍です。

 興味深かったのは、仲道さんがピアノに向かって左側、横山さんが右側に座っていたこと。小柄できゃしゃな仲道さんが力強い低音で楽曲を支え、長身の横山さんが飛び跳ねるような高音域を響かせる。体格と反比例した音の交歓に、胸が躍りました。
 
 最終曲は横山さんが編曲した「超絶技巧連弾曲『カルメンの誘惑と幻想』。ビゼー「カルメン」のフレーズを再編集して、その名の通り「超絶技巧」を聞かせるべく編曲したものです。 

 この曲では、席を入れ替えました。初めて横山さんが低音、仲道さんが高音を担当したのです。両者の音がホールの中空で溶け合うような、絶妙なバランス。横山さんが連打するちょっと奇妙な和音が、おなじみのフレーズに新しい表情を与えていました。
 

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