「かつお節作りに雨はいらない」
月曜特集連載「地の味 人の味」第3回。西伊豆町のかつお節製造会社「カネサダ鰹節商店」を訪ねました。(橋)
カツオの切り身を入れた4段重ねの蒸篭は、一定の時間が経つと上下を入れ替えます。作業は山本順也さん、初子さんご夫婦で行います。
感心したのは、この時に呼吸がぴったりなこと。「せーのっ」や「よいしょっ」などといった掛け声はなく、スッスッと蒸篭を持ち上げ、隣のかまどに移すのです。手際の良さに感心して「息がぴったりですね」と順也さんにお声かけすると、「長年の相棒ですから」とはにかんだような表情で答えてくれました。
84歳の富久ゑさんも、やすりがけなどを手伝います。ちょっとした傷には、削りくずを詰めてからやすりをかけてふさぎます。このあたりは職人芸。「少しでもカッコいい形に仕上げたいんです」とおっしゃっていました。
カビを付け、天日干し。これを5~6回繰り返して「本枯れ節」が完成します。2本を両手に持って打ち付けたときに、「カンカン」と高い音が響くかどうかが出来のよさのバロメーターだそうです。
田子鰹節業協同組合代表理事の薮田来さんは「かつお節屋に雨は一滴もいらない」といいます。実は撮影時、にわか雨が降ってきました。広げたかつお節を急いで収納する山本さん、薮田さんの表情が印象に残りました。
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