トップページ >04)サイエンス >理系本「ななめ読み」①「利己的な遺伝子」

理系本「ななめ読み」①「利己的な遺伝子」

 3月3日付から、科学面で新連載「サイエンス・ブック・カフェ」が始まりました。静岡大理学部主催「サイエンスカフェin静岡」の講師陣に、自分が理系の道に進んだきっかけになった本や、最近読んで興味深かった本を紹介します。ここでは、担当記者が実際に読んでみた感想を、できる限り書いていきたいと思います。(橋)

 生物学の名著の誉れ高い「利己的な遺伝子」。1976年に初版が発表され、1986年に第2版、2006年に第3版が出されています。

20140303web理系本.JPG
 
 歴史を重ねてきた本であることは、序文のボリュームからも分かります。本編の前に3版それぞれの序文を、29ページにわたって収録しています。訳者の一人、日高敏隆さんの「あとがき」も3版分載っています。

 著者のリチャード・ドーキンスさんは、第3版に寄せた「30周年記念版への序文」で、(今更ながら)この本のタイトルについて検討を加えています。
 「不滅(インモータルの遺伝子)「協力的な遺伝子」「利他的なヴィークル(乗り物)・・・。もしかすると、こういうタイトルの方が良かったのではないか。そんな自問自答をしながら、遺伝子を擬人化したようなタイトルへの批判にも明確に答えています。

 分子生物学者ジャック・モノーが「科学の問題について考えようとするときには、もし自分が電子だったらどうするだろうと自問」したというエピソードなども引いて、タイトルの意図を説明します。

 1976年版の「まえがき」は次のように始まります。

 「この本はほぼサイエンス・フィクションのように読んでもらいたい。イマジネーションに訴えるように書かれているからである。けれどこの本は、サイエンス・フィクションではない。それは科学である」

 謎めいた書き出し。まるでミステリーのようです。ユニークな読書体験を提供したこともロングセラーの一因であることが、この文章からも伝わってきます。

 

コメントを投稿

コメントを表示する前に承認が必要です。コメントが表示されるまで、少し時間がかかる場合がございます。


画像の中に見える文字を入力してください。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.at-s.com/mt1/mt-tb.cgi/48090

トップページ >04)サイエンス >理系本「ななめ読み」①「利己的な遺伝子」

ご案内

静岡新聞文化生活部の記者ブログです。
取材時のエピソードなどをアップします。
音楽、アート、鉄道、くらしなどがテーマ。
紙面にプラスのこぼれ話が満載です。


★文化生活部ツイッター ⇒こちら
「くらしず」の更新情報もお伝えします。

★アットエスニュース ⇒こちら
静岡新聞の公式ニュースサイトです。