岩肌の描き方に共通点
4月5日、静岡市葵区の駿府博物館で館蔵品を紹介する「コレクション展1 四季讃歌」が始まりました。現在地での最後の展覧会。第1弾は日本画コレクションですが、師弟関係のある画家の筆致に、ちょっとした共通点を見つけました。(橋)
こちらは明治から昭和にかけて活躍した巨匠、川合玉堂の「奔泉紅葉」(1938年ごろ)です。よく見ると、滝にかかる木の枝に猿が3匹いるのが分かります。
この作品と次の作品を見比べてください。 橋本雅邦の1895年の作品「晩林帰漁図」。空気遠近法を取り入れた、奥行きのある構図です。
「奔泉紅葉」との共通点は手前に描かれている岩の描写。どちらも輪郭を太い線でがっしり描いていますね。ごつごつした感触がよく伝わってきます。実は川合玉堂は橋本雅邦の門下生。駿府博物館の学芸員によれば、岩の描き方は「狩野派に共通する表現」とのことです。
こちらは山内多門による「秋景山水」(1908年)。やっぱり岩が太い輪郭線で描かれています。彼も橋本、川合の門下生。西洋画の影響を受けつつも、近代日本画に狩野派の技法がしっかり受け継がれていることがよくわかります。
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