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静岡サッカーを語る~静岡偉蹴実況(中)~

 4月26日に行われたトークショー「静岡偉蹴」。JFLホンダロックの名物サポーター、ロック総統とライター市川伸一さん、元Jリーガーの山西尊裕さん、山本浩正さんの対論紹介の第2弾です。第1弾はこちら。(橋)

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<静岡サッカーについての話題が続きます。かつての「黄金期」について>

ロック:この間、「スカパー!」を見ていたら、名波浩さん、野々村芳和さん(コンサドーレ札幌社長)、望月重良さん(SC相模原代表)の3人が、旧清水市の話をしていたんです。かなりローカルな話題も出てきました。「何中?」なんてことを有料チャンネルで(笑)。

山西:それ、研究室で見ていましたよ。その中で「藤枝は『ゴリゴリ』じゃん」という話になった。清水の人は藤枝のサッカーを「ゴリゴリ」だと思っていたようです。少し「上から目線」を感じましたね(笑)。

山西:あの年代の人は「自分が一番」でしたからね。日本代表の練習に行っても、清水の言葉が標準語だと思っていたはず。「おれっち」とかね。当時は静岡選抜が年代別代表みたいなものですから。

ロック:正直なところ、静岡はそれ以後、凋落している感じですよね。今の代表では長谷部、内田ぐらい。


山西:フル代表に関しては(ああだこうだと)言えないんですよ。僕らは(呼ばれて)見たことがないんで。でも、静岡のサッカーが低迷しているとはよく言われますよね。正直、かちんと来たので自分なりに分析したんです。Jリーグできて20年以上。静岡が落ちたんじゃなくて回りが上がったんでしょう。単純に人口比率の問題。人がたくさんいる地域の方が、良い選手がいる確率が高い。


ロック:地方都市ならではの伝統が邪魔になることもあるんじゃないですか?(スペインの)ビルバオのような。


山西:あんまりそうは思わないですね。でも、選手が中途半端になっているような気はします。昔は他に良い選手がたくさん来ると分かっていても、強豪校に行く。今の子は、自分が試合に出られる学校を選ぶ傾向がありますね。多少レベル落としても。そうなると、その選手は「そこそこ」で終わっちゃう。ハードルを下げることで、目標や志も下がってしまう。難しい環境でどうふんばるかは重要ですよ。引っ張られますもんね、レベルの高い選手に。今の子は現実的過ぎるかも知れませんね。「オンリーワン」とかよく言うでしょ。でも、本当は「ナンバーワン」を目指す先に「オンリーワン」があるんです。最近は「妥協のオンリーワン」なんですよ。


ロック:競争がないオンリーワンなんですね。(自身の出身地の)宮崎県は完ぺきに循環ができていて。鵬翔高か日章学園高から宮崎産業大か九州保健福祉大に行って、ホンダロックに入る。ある意味、エスカレーター式。ライバルが集約してしまう。地域内で完結しているんです。これぞ、地域密着ですよ。でも、そこに気が付いているのが僕しかいないという(笑)。


山西:静岡はそれが崩れている。その結果、(全国で勝つのが)難しくなっています。


ロック:例えばある選手がロックのセレクションに来ても、まわりはかつての先輩ばかりじゃないですか。あいつはあれはできる、これぐらいはできるとか、みんなわかっているんですよ。

<新設されたJ3リーグについては、辛口の議論でした。>

市川:J3リーグについて、Jリーグ事務局はプロともアマチュアとも言っていない。プロ選手をA契約でもC契約でもいいから、3人入れてS級の監督をつれてくればOKなんです。

ロック:グレーなリーグ。

市川:長野や町田は「Jリーグの一員だからプロフェッショナルな試合をしなくてはいけない」という意識、一方でJ2をすぐに目指そうとは考えていないクラブもある。Jリーグの仲間として成長するという。あいまいなリーグなんですね。

ロック:そういう形ならJFLでもよかったんじゃないの?

山西:もしかしたらJFLのほうが幸せかもしれないんですよ。僕らはよく学生に「この先お前はサッカーにどう関わりたいの」と問い掛けるんです。仕事しながらサッカーしたいという学生はJFLを目指す。一方で「とにかくプロになりたい」という子はJ3を目指す。ひとまず(Jの)土俵に立てる(という意義はある)。

ロック:でも、藤枝の試合を見に行ったら観客が680人だとアナウンスされているんですよ。でもどう考えても・・・。サポーターも3~4人しかいらっしゃらない。内容も、JFLと変わらない。ここでプレーするぐらいならJFLでいいんじゃないの、と思います。実体がついて行っていない。

山西:大学のほうが恵まれているのかもしれませんね。ウチの大学、天然芝のグラウンドですし。現状、J3は、良い悪いを抜きにして、去年までの大学4年生が選手をやっている。一方で練習環境は大学の方が良い。そうした状況の中で、プロとしての気持ちを見せられるかという問題だと思います。

山本:僕は(現J3の)相模原に1年間お世話になった。リーグ自体はレベルが上がっていると思います。最近、(元日本代表の)高原が入りましたね。活性化するきっかけになるんじゃないかと期待しています。リーグが始まったばかりなので賛否あるのは知っていますが、こういう選手が入ればレベルも上がるし、他の選手の気持ちにも変化が起こるでしょう。

山西:いきなり順風満帆とはいかないですからね。(三浦)カズさんが「日本のクラブはいろいろな生き残り方を考える」って言っていた。日本人は最初は不透明でも、後付けのオプションでなんとかしちゃうのではないでしょうか。

ロック:でも、ぬるいところが渦巻いているのは事実ですね。

山西:各クラブ、何を目指すかが問われています。その点、(鹿島)アントラーズはフィロソフィー(哲学)を持っている。一貫していますね。日本のチームの中で一番、外国のクラブに近い感覚。ある時期が来れば、必ず優勝に絡んでくる。クラブ自体にブレがないから、落ち幅が少ないんです。

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