静岡サッカーを語る~静岡偉蹴実況(下)~
4月26日に静岡市葵区で行われたロック総統、市川伸一さん、山西尊裕さん、山本浩正さん出演のトークショー「静岡偉蹴」。対論紹介の最終回です。(橋)
<リーグがそして選手がプロとしてどうあるべきか。議論が深まりを見せます>
ロック:鹿島にいたサントス選手。彼はファンサービスがすごい人で。彼はそれを当たり前のことだと信じていた。クラブに伝統を植え付けていったと思います。まさにプロスピリッツ。最近の選手は「プレーしていればOK」という人が多くないでしょうか。
山西:「自分はこういう人ですよ」というのを、もっと発信しなくては。その方法はツイッターじゃない。僕は「もっとしゃべれよ」と言いたい。付加価値を自ら作り出す姿勢が必要です。僕はその点、ハングリーでしたからね。練習後にサポーターの方々が「サインほしい」といらっしゃるでしょ? 当時は中山選手、名波選手たちが中心なんです。名前が売れていない選手は、どこか恥ずかしがって、ファンがいる場所にいかない。でも「僕は通りますよ」という(姿勢)。知られていないなら、中山選手以上にアピールするしかない。最初から「かなわない」と思っていたら(自分の名が)売れるわけないと思っていた。
山本:まったくその通りだと思います。
山西:「代打」でイベントに出たこともありますよ。別の選手の名前が飾られている会場に出ていく。そういう時は、自分で「つらい」と思うからつらいんです。来ちゃってるんだからしょうがない(ぐらいの気持ちで)。
ロック:僕も芸人時代そういうことがよくありました。「電撃ネットワーク」時代、ショーパブに出演したんだけれど、誰も見てくれなかった。だからミミズを食った。自分たちはそれを重ねて知られていった。ある意味で卑怯な手を使った。でもそれがオンリーワンではないでしょうか。つまり、ナンバーワンを目指したオンリーワンですよ。
山西:同じにおいがしますね(笑)。
<今後のJリーグ、そしてクラブについて。サポーターの心構えにまで話が及びます>
ロック:僕、山本さんをスターにする自信があります。昔、ホンダロックのセカンドキーパーを試合中にいじってスターにしたことがあるんですよ。結局、「バカヤロー」ばかりのコールではJリーグのファンは増えない。選手にも信頼関係として乗っかってほしいんですが、勝ち負けじゃない楽しみも提供する必要がありますね。例え負けても「今日のキーパーのアップのネタ良かったよね」なんて。実際、エンターテインメントって境界線が難しいんです。でもJ3のサポーターやファンにはどんどんチャレンジしてほしい。
山西:意義のあることですよね。
ロック:危惧しているのは、J3のサッカーを見ている人がそれを理解していない。J 2に早く行かなきゃという関係者が多すぎる。
市川:J3に多いのが「Jリーグ」と名が付けばお金が集まる、人が集まるという勘違いです。それでクラブを造ってしまう。
山西:「優勝すれば観客が入る」という理論と同じですね。ずーっと優勝してなきゃならない。それじゃ先が見えている。
市川:例えば(J3)のYSCCというクラブ。横浜市の本牧地域に根ざした子どものクラブなんですが、身の丈にあったことしかしない。J3をやるとなったときに、いきなり手を挙げた。そうしたら「あそこができるならウチにもできるでしょ」と追従したクラブがあったんです。YSCCは会費で成り立っている。「ウチのクラブは胸スポンサーがなくてもやっていける」と言っています。そこを他のクラブがちゃんと見ていない。規模の小さなYSCCがいけるんならウチもという。中身をみていない。
ロック:ビジョンって大事。いろいろなビジョンがあっていい。
山西:「ここを目指さなきゃ」というのが固定されてしまうのが一番良くないと思いますね。
ロック:僕はファンの責任もあると思う。(上のカテゴリーに)上がろう上がろうという人ばかり。
市川:ラッキーで上がった。でも勝てない。そんな時はニコニコ笑っていればいいのに。(J1昇格後に苦戦している)徳島は、県知事までキレているから。
ロック:自分たち(が応援する)のクラブにも、いつ何があるか分からない。昔とは違うんです。サポーターも、サッカーをいろいろなファクターで見なくてはいけない時代ですね。
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