続く晴天神話 「頂ITADAKI2014」
6月7、8日に吉田町の県営吉田公園で開かれた野外音楽フェスティバル「頂ITADAKI2014」は、延べ16300人を集めました。会場をくまなく歩いた筆者の雑感を。(橋)
動員は昨年比2100人増。初日はチケットが売り切れました。7回目を迎えたこのフェスで初めてのことです。電気グルーヴ、エゴ・ラッピン、UAといった強力なラインナップが威力を発揮したようです。
確かに「昨年よりずいぶん人が多いな」という印象でした。タープエリアをキッズエリア横にまで広げるなど、会場のレイアウトにも少し変化がありました。そのせいなのかどうなのか、一部のトイレへの動線が細ってしまっていたのが少し残念でした。
特筆すべきは2日間とも天候に恵まれたことです。
筆者の知る限り、このフェスで雨が降ったのは、日本平ホテル庭園で行われていた2010年の2日目だけ。それも夕刻から夜間に掛けて、ほんの小雨程度でした。
今年は7日午前中まで雨が残るという天気予報でしたから、さすがに「覚悟」しました。主催者の「神通力」も梅雨前線には勝てないかな、と思っていました。
7日午前9時の開場直後。雨模様でした。
ところがどうでしょう。9時に開場し、テントが次々立つ間にどんどん雨は弱くなり、10時ごろには雲間から晴れ間が見えていました。芝生広場は水を含んでいましたが、風が心地良く、暑さもほどほどで、結果的には非常に過ごしやすい1日になりました。
7日お昼過ぎにはご覧の盛況ぶり。
7日の開場直後、午前9時のキャンプサイト。極めて普通の芝生広場。
同日夕方、同じ地点から。テントがひしめきあっています。
2日目はすっかり夏空。ビールが飛ぶように売れていました。今年も「晴天神話」は続いた格好です。
出演者を振り返ると、今年は女性歌手が目立ちました。
押し引き自在の表情豊かな歌声で初日のトリを飾ったエゴ・ラッピンの中納良恵さん。彼らは4回目の「頂」出演でしたが、個人的には最良の演奏だったように感じました。
初日のキャンドルタイムを彩ったUAさん。ステージ前に分厚い人垣ができていて、姿はほとんど拝めませんでした。しかし、空中いっぱいに広がっていくボーカルは、ステージに背を向け、沈みゆく夕日を見ながら聴いても、それはそれで味わい深いものでした。
鎮座DOPENESS&DOPING BANDのCHAN-MIKAさんの歯切れの良いソウルフルな歌唱も忘れられません。深夜のムーンステージでは、Predawnさんがカラフルな弾き語りを聴かせてくれました。
7日深夜、キャンプサイト内のムーンステージ。キャンプインする参加者だけが集える特別な場所。
2日目は何と言ってもキャンドルタイムの加藤登紀子さん。心にしみいる歌、そしてMC。決して押しつけがましくなく、まるで家族を相手にするようにステージから語り掛ける姿に、人間としての懐の深さを感じました。東日本大震災の6日後に作ったという「今どこにいますか」は、多くの方が目頭を押さえていました。
2日間とも、美しい夕日が演奏を引き立てていました。
クラムボンの原田郁子さんは、海からのやわらかな風がそよぐステージを心から楽しんでいるように見えました。「パンと蜜をめしあがれ」ほか、代表曲中心のフェス仕様のセットリスト。環境や天候がアーティストの演奏に、大きな影響を与えることをあらためて知りました。
2015年の「頂」は、大きな変革の予感。1年後を楽しみに待ちましょう。
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