ヴァンジ彫刻庭園美術館の「イケムラレイコ PIOON」展
長泉町のヴァンジ彫刻庭園美術館で開催中の「イケムラレイコ PIOON」展に行ってきました。スペイン、スイス経由でドイツを拠点に定め、欧州と日本をまたいだ活躍で知られるイケムラさん。8年ぶりの個展では、多くの「ウサギ」に出会えます。(橋)
茶色いウサギ、緑のウサギ、白いウサギ。大きなウサギ、小さなウサギ。細いウサギ、太いウサギ。およそウサギに見えないものもあれば、ウサギ特有のかわいらしさが伝わってくるものもあります。
ウサギという題材についてイケムラさんは、こう語っています。
「生きとしいけるものの宇宙への思いを私はうさぎに託しました。それは子でもあり母でもあります。大きなうさぎ観音は全てを包容するようにつくりたいと思いました」
ここに出てくる「うさぎ観音」はこの展覧会のメーンコンテンツと言ってもよいもの。3メートル超の作品が2体、向かい合わせに置かれています。
このエリアだけは写真撮影が許されています。今、自分のスマートフォンの中でこの2体を見比べていますが、その表情からどことなくお互いへの「拒絶」を感じてしまいました。
この展覧会の美点は、作品のそばに詳細なキャプションがないことです。入り口にシンプルな作品目録がそっと置かれていますが、それを開かなければどこに何があるか、また作品の名前や素材を知るすべはありません。
不便、という言い方もできます。しかし、先入観が全くない状態で作品に向かい合う環境を保証してくれてもいるわけです。筆者にとって、これは貴重な機会でした。
作品を見て、自分が何を思うか。何を想像するか。作品を前に、思いがけない驚きや温かい感情が生まれるのが自覚できました。
会期は10月14日まで。6月15日、8月17日、9月7日のそれぞれ午後2時から、担当学芸員のギャラリートークがあります。
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