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性同一性障害(GID)尽きない葛藤

  性同一性障害(GID)の当事者らによる自助グループ「GIDしずおか」定例会の様子を紹介しました。そこには奥の深い世界が待っていました。(の)

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 まずは事務局長に話を聞きました。

  体は男性、心は女性の方はMTFといいます。逆はFTMです。どちらとも言い切れないアセクシャルがあれば、両性を愛するバイセクシャル、両性とも恋愛対象にならない無性愛者、さらには性欲がない非性愛者という状態もあるそうです。ひと言でGIDといってもさまざまなのです。また、既に性転換手術を終えた人、ホルモン治療中の人・・・と体の状態もそれぞれです。 

 

  参加したのは当事者7人。働きながらカミングアウト(在職トランス)した方がいました。ホルモン治療や手術を行えば当然、体つきや顔つきが変わります。移行する過程は、周囲と折り合ってやっていくのに気を遣います。カムしている(カミングアウトしている)か、していないかにもよりますが、「いかに周囲に違和感を感じさせないか」に心を砕くのです。 


  カムしたからといって、MTFの人が急に女性トイレを使えば、周囲は戸惑います。「外見が伴えば(女性に見えれば)受け止め方も変わってくると思う」とは当事者の言葉ですが、それまでにどれだけの時間がかかるか。「自分の心をだまし続けることがつらい」といいます。  

 

  就職の問題もあります。「婦警、看護婦など女性と分かる職業には就かないようにした」というFTMの方。「制服に男女差のない職場を選んだ」というFTMの方は「つなぎ」を着て働く工場に就職を決めました。GID当事者は、どの仕事を選ぶか、というより、自分らしい姿でいられるのはどの仕事か、との視点が基準になるのです。いざ試験となっても、履歴書に学歴を書けば、女子大・女子高卒の場合は性別が判明する。ならば、採用試験の時点でカムするかしないか・・・。悩みは尽きないのです。 

 

  突き刺さったのは「身内だったらどうするか」と問われたこと。取材者としての立場では受け入れることができても、身内だったらどうだろうか。ある日、父が「女性」になったら・・・同じように受け止められるのか。でも当事者の一人が言うように「最後は人。人としてどう生きるか」なのでしょう。

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