県内盲ろう者の現状は
目と耳の両方が不自由な「盲ろう者」について29日夕刊で紹介しました。2012年時点で、目と耳両方で障害者手帳を取得している人は県内に269人。手帳を取得していない人もいるため、実数はもっと多いと推測されます。外出をためらう人や、外出をサポートする通訳介助者の派遣制度を知らず、孤立している人がいる可能性もあります。(の)
全盲ろうになった女性の話です。25年前、徐々に視力、聴力が落ち、全盲ろうになりました。当時まだ40代、子供もまだ自立していません。外に出たくない、料理も会話もできない。家族の世話という責任を果たせない。途方にくれ、「盲ろう者」「障害」の単語を聞くだけで涙が出ました。「(人生の)先がなくなればいい。早く年をとりたい」とそればかり考えていました。
ですが、まだ派遣制度がなかったころ。自分で克服するしかありませんでした。手探りでの家事。失敗もありました。それでも「人生のどん底」から、これまでやってこられたのは家族と「静岡盲ろう者友の会」の仲間の支えがあったからです。
友の会事務局によると、友の会に所属する盲ろう者は22人。調査で分かった人数の1割にも届きません。「外」に出たくない、出られない。そういう気持ちを乗り越え、入会という一つの社会参加に至る人はほんの一握りなのだそうです。先の女性は友の会に入り仲間を得て、いろいろな情報交換ができたたことが、どん底から這い上がった一つの要因になったそうです。友の会でなくても、通訳介助者の派遣制度を使って買い物に出掛けるなど、派遣利用で生活範囲が広がったという声も聞きました。
「人との出会いや会話があれば、頑張って生きていける」。友の会の副会長の言葉が後押しになればと思います。
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