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評伝著者の栗原康さん、大杉栄を語る

 9月15日、静岡市葵区の「コミュニティホール七間町」で「大杉栄・伊藤野枝・墓前祭」が行われました。大杉の評伝を書いた栗原康さんの講演、映画「シュトルム・ウント・ドランクッ」の上映、アルトサックス奏者望月治孝さんの演奏など、盛りだくさんの内容。メキシコ料理店のコーナーも設けられ、さながら「大杉栄フェス」の様相でした。
 TEKATEビール片手に耳を傾けた栗原さんの講演が、興味深いものだったので、ご紹介します。(橋)

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 栗原さんは1979年生まれ。武蔵野学院大で非常勤講師を務め、昨年「大杉栄―永遠のアナキズム」を出版しました。
 
 大杉に出合ったのは高校3年生。片道2時間半の長時間通学を繰り返す中で、ラッシュ時のサラリーマンの非人間性に恐怖を感じ、通学時間をずらすという「ドロップアウト」を試みた時期だったそうです。
 
 最初に読んだのが「大杉栄評論集」(岩波書店)。「◎◎を『しなくちゃいけない』」という社会原理の非人間性に自らの体験が重なり、大いに共感を得ました。
 「いつ、どんな生き方を選んでもいい。ユリの皮を1枚1枚はいで『ゼロになる』ことを肯定してくれた。今も、そのことを考えながら生きています」
 
 栗原さんは評伝を書いているうちに、「今こそ世の中に大杉が必要なのでは」と考えるようになります。
 「特に3・12(東日本大震災発災の翌日)以後、人が負い目を感じて生きざるを得ない場面が増えた。『生の負債化』が過剰になっているように感じます」
 
 大杉の言う「自我の棄脱」が一つのヒントとして浮かび上がります。
 「こう生きなくてはいけない、という自己の皮を脱ぎ捨て、ゼロに立ち戻ろうという考え方。生の負債化からの解放につながる、大杉からのメッセージだと思います」

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 後半は、あべの古書店の鈴木大治さん、水曜文庫の市原健太さんとの鼎談。 「使いたいキーワード、本当は『永遠のゼロ』なんですよね」と言い、会場を爆笑させた栗原さん。自らの年収を明かすなど、赤裸々で少々自虐的なトークが印象的でした。

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