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焼津市三右衛門新田の「芋祭り」とは

 木曜夕刊の連載「味わう文化財 しずおかの在来作物」の第5シリーズ、焼津市の「三右衛門芋」が18日で終了しました。最終回で記述した、三右衛門新田八幡宮の「芋祭り」について、さらに詳しくお伝えします。(橋)

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 大井川下流の三右衛門新田周辺は、江戸期から凶作や洪水にたびたび襲われたそうです。米や野菜が全滅しても、現在「三右衛門芋」と言われるサトイモだけはよく育ち、村人の命を救ったとされています。これが祭りの起源です。

 地元の方々によれば、このいきさつが書かれた古文書を所蔵していた家はすでに消失してしまっています。ただ、皆さん古老からはっきり言い伝えを聞いているとのこと。「子や孫に語り継がなくては」と口をそろえます。

 煮たイモを奉納する祭りは、静岡県内では極めて珍しいのではないでしょうか。これは、八幡宮というより土地の神に感謝の意を表明する祭りなのです。

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 総代の男衆が長く受け継がれた「レシピ」で朝早くから支度をします。かつてはカツオ節の端材でだしをとっていたそうですが、「今は便利なものがある」ということで、だしパックを使います。

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 煮崩れないように気を付けながら1時間火を通し、別鍋で煮たこんにゃくやはんぺんと合わせます。 長さ約30センチの竹串にイモを5~6個串刺しに。昔はこの形で子どもたちに配っていました。記事に出てくる小野田治次さん(88)は、「祭りの当日は、学校帰りにこれをもらえるのがうれしくてうれしくて。1人2本まで、と決められていた」と話します。
 今は衛生面を考慮し、パックに入れたものを持ち帰るスタイルになっています。

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 同八幡宮はこの規模にしては珍しく、こま犬も石鳥居もかなり新しいものでした。平成に入ってから2回、寄進を募ったようです。 祭り当日は大勢の方が、境内の掃除に訪れていました。この神社が長く大事にされてきた様子がうかがい知れ、胸が熱くなりました。

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