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現代に息づく「民芸」

 10月から紙面改革に伴い、毎週金曜夕刊に掲載してきた「生活彩々」が26日、最終回となりました。締めくくりとして最近、雑誌でもたびたび特集が組まれ、脚光を浴びている「民芸」を取り上げました。静岡市出身の染色家、芹沢銈介をはじめ、現代に息づく民芸の魅力を県内で探りました。(岡)

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 その一人、芹沢銈介の教えを受け、浜松市内に工房を構える山内武志さんを9月中旬に訪ねました。庭には、風呂敷になるという長さ6㍍の布が風に揺れていました。「伸子(しんし)」と呼ばれる竹を何本も布の端に渡してあり、ピンと張られた布の姿は、見ていて気持ちがよいほどでした。

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 取材中、山内さんは「布そのものの価値を損なわないように」と何度もおっしゃっていました。布自体が20年以上も前に織られた貴重なものだそうです。 布の織り模様に染めの模様が重なり、平面ながら立体感のある風合いが生み出されています。

 山内さんが弟子入りしたのは、芹沢銈介が人間国宝になる前年。パリで好評を博した展覧会にも同行し、一カ月かけて準備に携わったそうです。その師匠からは「褒められたことが一度もない」とのこと。試作品を見せると、しげしげ眺め、「大変だったね」と一言。「苦労したわりによくないね、という意味だった」と山内さんは苦笑いされていました。6年間の修業後も深い親交は続き、「今何しているか?」と一言だけ書かれたはがきが送られてきたこともあるそうです。うらやましい師弟関係です。

 今回は「民芸」の入り口を取材させてもらったというのが正直なところです。その幅広さと奥深さ、県内にゆかりが深いことも実感しました。今後も関心を持って取材してみたいと思っています。

 最後になりましたが、長年「生活彩々」をご覧いただき、ありがとうございました。

 

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