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三角みづ紀さんの最新詩集を読んで

 10月10日夕刊の「文化・芸術」面に、第22回萩原朔太郎賞に選出された三角みづ紀さんの記事を掲載しました。三角さんは、2011年、13年、「しずおか連詩の会」に参加するなど、静岡との縁も深い方。8月末の新刊「現代詩文庫 三角みづ紀詩集」(思潮社)には、2回の「連詩の会」で協働作業した管啓次郎さん、福間健二さんが詩人論を寄せています。当日の様子を描いた記述を、興味深く読みました。(橋)

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 2002年の現代詩手帖で三角さんの応募作を新人作品の選者として読んだ福間さん。現在の三角さんの表現を「祈りがロックンロールしている」としています。
 脱稿の日付は2013年12月12日。「この秋は、三角みづ紀とよく顔を合わせた」と記していますから、ここには「連詩の会」も含まれるのでしょう。

  「二人だけで煙草を吸いながら話す場面が何度もあった。どちらがどう追いついたのか。ぼくの歳は彼女のちょうど倍になった。倍の時間を生きてもまだ彼女のようには仕事していない自分を意識することがある」

 福間さんは「つい最近、彼女が『詩が好きで好きでたまらなくて怖くなるほどです』と言うのを聞いて、これだ、これがなくてはいけないのだと思った」とも書いています。このフレーズ、取材で居合わせた筆者も直接耳にしましたが、同じように感じたことを覚えています。

 管さんは「連詩の会」で初めて三角さんと顔を合わせたようです。「そのとき数日を過ごし、口数少なく言葉を交わすうちに彼女の存在が急激にはっきりしてきた。いい声をしていると思った」とあります。

 筆者ももろ手を挙げて賛成します。三角さんの声は、まさに自身の詩がそのまま声になったような、もっと言えば詩の字面を追うだけで声が聞こえてきそうな、そんな不思議な存在です。詩と声の「互換性」がこれほど強い詩人も、なかなかいないのではないでしょうか。

 管さんは、初対面の2年後、スロベニアで開催された詩をテーマにした祭りで三角さんの朗読パフォーマンスを目撃しています。その時の印象をやはり「いい声だった。いい情感が観客にも直接に伝わるのがわかった」と記述しています。

  「しずおか連詩の会」は約4日間、詩人5人が同じ時間、場所を共有して創作します。福間さん、管さんの文章を読んでいると、詩人同士が濃密な関わりを「余儀なく」されることで、お互いがお互いの領域に踏み込み、相互に影響を与えている構図が浮かび上がります。

 三角さんの作品を味わうとともに、「しずおか連詩の会」の意義も考えさせられた1冊でした。

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