「美少女の美術史」展、企画の「トリメガ研究所」鼎談(4)=完=
静岡県立美術館の「美少女の美術史展」は、開幕から1カ月がたとうとしています。9月20日、開幕日に行われた同展の企画グループ「トリメガ研究所」の鼎談抄録の第4弾、最終回です。
お話は静岡県立美術館の村上敬さん、青森県立美術館の工藤健志さん、島根県立石見美術館の川西由里さん。同展オリジナルのアニメーション作品について語りました。抄録の第1弾はこちら、第2弾はこちら、第3弾はこちらです。(橋)※発言者の敬称略
村上:今回、太宰治の短編小説「女生徒」を素材にして、約15分の朗読アニメーションを作りました。描かれている女学生が美少女だという描写は特にありませんが、内面の揺れ動きを吐露するときの言葉や、心の動きのありようが、この展覧会にふさわしいと思いました。工藤さんは声優としても出演しています。
工藤:「女生徒」をテーマにした映像はこれまでにもありますが、その中でこの作品は特に完成度が高いと自負しています。3人で(原作から)印象的なシーンを抽出し、組み合わせました。エッセンスを凝縮して15分間にした形です。この作品は、繰り返し見ていただくことをお勧めします。その日の自分の心情によって、女の子のどの部分と共感するかが違うんです。自分の心の写し鏡のよう。私は朝、必ず1回は見るようにしています(笑)。
村上:塚原重義監督は考証がとてもマニアックで。その当時走っていた電車、その時代の女学生の制服などを克明に再現しています。
川西:ナレーションは遊佐未森さんにお願いしました。音楽の大口俊輔さんは「あまちゃんバンド」でアコーディオンを弾いている方。今回は、ピアノのソロです。監督は本当にマニアックな方。直接的な描写がないんです。ユーモアやとんちが効いた演出が印象に残っています。
工藤:良質のファンタジーに仕上がっているけれど、ディテールは徹底的に考証されています。そのバランスが不思議な印象を与える作品です。
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