佐野美術館「超絶技巧!」展の、超絶技巧ベスト3
10月4日に開幕した佐野美術館(三島市)の「超絶技巧! 明治工芸の粋」展に行ってきました。ほとんどが海外に輸出され、日本人の目に触れることが少なかった明治時代の工芸品がテーマです。村田理如氏のコレクションを集めた清水三年坂美術館から、えりすぐりの作品が集まっています。(橋)
動植物をじっくり観察し、リアルに描く作品の数々を眺めていると、まるで博物誌を繰っているような気持ちになります。
ここでは出品された作品の中から、筆者が「これはまさしく超絶技巧だ!」と感じた3点をピックアップさせていただきます。当然ながら館内は撮影禁止なので、写真はありません。ぜひ、同館に足を運んで実物をごらんになってください。
▼粂野締太郎「蝶尽し香合」
縦7×横9×高さ3.7センチの小さな七宝焼きの香合ですが、内側に1000匹を超える、色とりどりの蝶が描かれています。パッと見たら、単なる点にしか見えません。一つ一つ、羽が丁寧に描かれています。無数の蝶の乱舞。ちょっとくらくらします。
▼正阿弥勝義「古瓦鳩香炉」
金工。てっぺんから首をかしげるようにして足の下をにらむハト。その視線の先にはクモ。ハトの攻撃的な視線に、クモが「すくんで」いる様子が伝わってきます。江戸期には刀装具の職人だった作者は、昆虫や鳥を自分で飼育して観察を続けたそうです。
▼精巧山「雀蝶尽し茶碗」
色彩豊かな薩摩焼の作品。「精巧山」という銘がありますが、この方の来歴は未詳だそうです。これも内絵に無数のチョウが舞っていますが、ぜひ外絵にご注目を。さまざまな表情のスズメたちが愛きょうを振りまいています。
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