「つぶ食 いしもと」で聞いた水窪地区の雑穀文化
10月の第1~3木曜、2、9、16日夕刊に掲載した連載「味わう文化財 しずおかの在来作物」で、浜松市天竜区水窪地区の「きび」を取り上げました。取材で、同地域独特の雑穀文化に触れることができました。特に、旧水窪町の市街地で雑穀料理店「つぶ食 いしもと」の石本静子さんの話からは、過去から現在までの「粉文化」のありようがうかがえました。(橋)
旧佐久間町から1964年に旧水窪町に嫁いだ石本さん。「佐久間でも雑穀を粉にして食べる習慣はあった。食文化は似通っていました。さまざまな雑穀を水で溶いて固めたものを、いろりで焼いて食べます。ひえはあまりおいしくなくて、私の母親は後年も『ひえだんごはいらんぞー』とよく言っていました」
雑穀やあずきの粉を熱湯を入れてかき混ぜた「たてこ」もよく口にしたそうです。「あずきたてこやそばたてこは、食事と言うよりおやつのような存在でした」
きびは「だんご」にするのが一般的。だんごと言っても、丸い形ばかりではなく、作り手がギュッと握ったままの、棒状の形で灰に入れることが多かったようです。平らなせんべい状にすることもありました。「水でかくと硬くなり、お湯でかくと軟らかくなるんです。いろりの灰に入れてゆっくり焼いて、灰を払って食べました。自家製の金山寺みそやしょうゆを付けました」。食器などは使わず、いろりのふちに並べたそうです。
秘蔵の「きび粉」を見せてもらいました。オレンジ色といってもいいぐらいの薄黄色をしています。石本さんは、「ずっと昔から食べているもの。それが今になって、伝統作物として注目されるのが面白い」と話していました。
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