「静岡アートドキュメント」一巡り
11月29日に開幕した「静岡アートドキュメント2014」。有度山周辺の5会場に約30組のアーティストが集います。(橋)
会場の一つ、静岡市駿河区の大村邸は、改築された蔵(上)と母屋が展示会場です。
蔵はドイツ在住の福島世津子さんと浜松市在住の乾久子さんのユニット「アートゲルトナリンネン」のインスタレーション。日独のやりとりから生まれた言葉をイメージさせる事物をそれぞれに持ち寄り、48個の小箱に収めています。 「お互いに何を持ってくるかはわからなかった。一昨日、初めて知った」という福島さん。二人のアーティストの異なる発想が、48通り対比されています。
例えば「回る物」という箱の中には、「時計」と「お札」「コマ」が収められています。具象画と抽象画をいっぺんに見ているような気分になりますね。
母屋はきれいに保存された古民家。畳敷きの部屋に中村妙さん(菊川市在住)の平面作品「紙の上の呼吸」が置かれています。青の色鉛筆でふわふわした花弁を描きます。花弁とか弁の心地よい距離感が印象的。
午前中は大雨に見舞われた野外会場の静岡市駿河区「遊木の森」。お昼過ぎから晴れ間が広がりました。写真は静岡市葵区在住の丹羽勝次さんの「まっすぐな線のある風景」。直径2センチ、長さ80メートルのロープが、会場の起伏を視覚化します。
赤色の笹船を象徴的に使うインスタレーションで知られる中村昌司さん(掛川市在住)は、クマザサの間に大きな「笹船」を設置しました。「周囲の木々を使うことに苦労した。今回は『難破船』かな」と中村さん。林の中に忽然と現れる赤い船は、まさに「異物」。光景を一変させる力があります。
「静岡アートドキュメント」は12月7日まで開催。
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