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SPAC「変身」、音楽の秘話

 12月13日、県舞台芸術センター(SPAC)の「変身」を見てきました。小野寺修二さんの演出は言葉と同等か、それ以上に役者の肉体による「構築美」を強く打ち出していていました。ストーリーそのものより、身体表現の多様さが印象に残りました。
 終演後のアーティストトークでは、小野寺さんと、この舞台における重要なファクターである音楽を担当した阿部海太郎さんが、創作の裏話を聞かせてくれました。(橋)

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 アーティストトークはSPAC芸術総監督の宮城聰さんを交えた鼎談でした。

 阿部さんに音楽を頼んだ意図について、小野寺さんはこんな話をしてくれました。

 「阿部さんは音の質感を大事にする。弦なら弦、ピアノならピアノがどうしたらいい音で鳴るかを丁寧に考えて仕事をしている。今回、音楽でチャレンジできることはないかと思ったときに、阿部さんなら合うと思ったんです」

 稽古を進めながら音楽を決めていく作業で、小野寺さんはこんなことを考えていました。

 「阿部さんと食事をしたときに、蜷川(幸雄)さんの仕事をした話になって。稽古場でいきなり『音楽!』と。ちょっと音を出すと『違う!』。そんなやりとりで音を探していったそうです。僕も理屈で『ここはこの音』ではなくて、そういうやり方をやってみたかった」

 阿部さんからは、ラストの曲が、上演直前に差し替わったことも明かされました。

 「本当は、カーテンコールでかかった弦の曲が(本編の)エンディングだったんです。でも、個人的には良くも悪くも(話が)きちんと終わってしまうようなところがあって、小野寺さんが決定してからもちょっと疑問だった。ゲネプロの直前で、ダメもとで提案したら『乗っかるよ』と(同意してもらえた)」

 代わりのエンディング曲は手回しのオルゴールで演奏されています。阿部さんは、その意図について、次のように語ります。

  「弦楽器は情緒が出る。最後の場面には情緒は必要ないと思った。だからオルゴールなんです。(オルゴールのパンチカードの楽譜を)書いたのは僕だけれど、基本的には機械なんですよね、これ。ハンドリングによって遅くなったり、ノイズが出たり、コントロールできないところがある。でもそれこそが、この舞台の最後にはふさわしいように思って」

  「変身」は来週の週末、20日、21日にも上演されます

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