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「甘蔗糖ファクトリー」の「よこすかしろ」ができるまで

 12月22日付連載「地の味人の味」では、旧大須賀町(現掛川市)に200年以上前から伝わる製法による「地砂糖」を取り上げました。「甘蔗糖ファクトリー」で作られる通称「よこすかしろ」は、一般的な黒砂糖よりも味が複雑ですが、一方で甘みがさっぱりしています。不思議な味わいです。(橋)

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 地域の生産者14軒から順に運ばれてくるサトウキビ。この道8年の後藤栄治さん(79)は、朝7時過ぎから搾りはじめます。「普段のヤッケじゃ、風を通すから」と5~6枚重ねで作業に臨みます。

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 もともとは織物工場だった「甘蔗糖ファクトリー」。毎日5~6人が作業を進めます。サトウキビの搾り汁を石灰で中和して不純物を沈殿させ、上澄み液をさらに煮詰めます。稲垣正義さん(65)は2年目。袋井市から通っています。

20141222web甘蔗4.jpg 搾り汁は煮詰めていくと、どんどん湯気が少なくなっていきます。色の変化や、粘度を目で確かめて、煮沸ストップ。「上がるよ!」という声に呼応して、ほかの作業をしていたスタッフも釜の周囲に集まります。
 
 植木鉢のような「凍炉」。平成元年に製糖を復活させる際に、散逸していたこうした器具類を集めたそうです。「よこすかしろ保存会」の鈴木武史代表によれば「実際に植木鉢として使っていた例もあった。底に穴を開けていたから、もう一度それをふさいで使っています」とのこと。

20141222web甘蔗5.jpg 竹の棒で3人がかき混ぜます。興味深いのは、2~3分ごとに担当する凍炉を変えること。「どうしてなんですか?」と聞いたところ、「同じ人がずっとやっていると、癖が付く」という答えが返ってきました。混ぜ方も人それぞれなので、同じ人がずっとやっていると、どうしても「混ぜムラ」ができてしまうのです。

20141222web甘蔗2.jpg カレーソースのような色になったら、バットに流し込みます。これを室内の棚で自然乾燥。1日置いて切れ込みを入れ、上下逆転させてもう1日。おいしい「よこすかしろ」の出来上がりです。

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