SF作家いわく「我々は・・・」
静岡市駿河区の静岡科学館る・く・るで12月24日、ロンドン大上級研究員の松浦美香子さんの講演会が開かれました。定員50人の会場は満員。学生服姿も目立ちました。(橋)
松浦さんは東京都出身。小さな望遠鏡で月を見る子供時代を過ごし、東京大に進学。博士号を取得後に渡英しました。
今回の講演会では、2009年に欧州宇宙機構が打ち上げたハーシェル宇宙天文台、2012年から観測が始まったチリにあるアルマ望遠鏡の原理や成果を、分かりやすく説明してくれました。
超新星が爆発する際にまき散らされるダスト。そのダストが衝突しながら大きくなり、惑星を形成していく。松浦さんはその過程も解説しました。
話の最後に引用した、天文学者でSF作家のカール・セーガン氏の言葉が印象的でした。
「我々は星くずでできている」
詩的な表現のようにも聞こえますが、これは現実を的確にとらえた言葉でもあるのです。一生を終えた星、つまり超新星から出た酸素や炭素がダストとなって次の星を作る。地球も、そしてその上で生活する私たちも、この循環の中にいるのです。
講演会では、質問コーナーも設けられました。「すてきな研究者になるための極意は?」と問われた松浦さんは、こう答えました。
「目の前にあることを一生懸命積み重ねた結果が今の私。極意はありません」
なるほど。その後、別の質問に関連して、ある本を引用した上でこんなこともおっしゃっていました。
「できないことは問題ではない。できないことをどう変えるかが重要です」
会場の学生たちはもちろん、社会人の教訓にもなる言葉でした。
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