「日本稀想芸術音楽博覧会」を見て
1月15日夕刊文化欄「とんがりエンタ」では、1月11日に行われた「日本稀想芸術音楽博覧会」を取り上げました。記事を書いたのは浜松総局のT記者ですが、筆者も会場の浜松窓枠に足を運びました。新聞記事は平川病院造形教室の作品のことが中心でしたが、ここではそれ以外の演目について触れたいと思います。(橋)
午後3時半から午後10時過ぎまで続いたという今回のイベント。筆者は翌日提出の原稿があったため、泣く泣く午後8時すぎに会場を後にしましたが、さまざまな演目を堪能しました。
「言触(ことぶれ)」はAyameさん率いる静岡市の劇団。この日が初実演でした。映画「子宮に沈める」の主演女優、伊澤恵美子さんらを交えて、会場フロアを使った即興劇を繰り広げました。
せりふを手渡された役者が、その場で感情表現を組み立てるさまを間近で見るという、観客にもある種の「体験」を強いるスタイル。ハイヒールをはいた伊澤さんの立ち姿の美しさに見とれました。
音楽バンドもいくつか出演しましたが、ノイズ系ばかりと言っても良いラインナップ。浜松市在住という若い女性がバスドラムを踏みながら、ギターを操る1人バンド「BOKUGO」、歌詞や歌声に呪術的なニュアンスが感じられた「やぁ、神様ぼくだよ」に続いて登場したのは「ニッポンのお母さんノイズ」を標榜する2人組「HARIKOZUE」でした。
割烹着姿の2人が、やおらぞうきんやデッキブラシでフロアを掃除し始めます。バケツの水や掃除機、たらいなどはそれぞれがノイズ発信装置になっていて、騒音は次第に増幅。メンバーの1人が首から提げたスティックタイプの掃除機は、ギターのようにも見えますが、これもノイズ発信器。フロアの客を「吸引」しつくします。
最後は、たらいやバケツをデッキブラシなどで大破壊。ノイズなのにどこかポップな印象が残るパフォーマンスに、場内から「ワンモア!」とアンコールがかかっていました。
続いて登場した直江実樹さんには、耳を奪われました。大きな旧式ラジオを片手に現れた直江さんは、それをまるで楽器のように操りながらノイズを発信。しかし単にノイズをまき散らすのではなく、大いにグルーヴを感じさせる内容で、感動しました。このように「音楽的」にラジオを奏でる人は初めて見ました。
率直に申し上げて、前売り1000円、当日1500円の入場料金でここまで充実した内容のイベントは日本中探してもなかなかないと思います。主催者に拍手を贈りたいと思います。
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.at-s.com/mt1/mt-tb.cgi/49299