藤原由葵さんとの対話(上)
2月7日、静岡市駿河区の駿府博物館で企画展「画家藤原由葵―ここに生息!」が始まりました。静岡市出身の藤原由葵さんは、23歳の時に第16回富嶽ビエンナーレ展大賞受賞。現在36歳、新進気鋭の油彩画家です。開幕初日に来場した藤原さんに、会場でミニインタビューを行いました。一部を紹介します。(橋)
▼対象を写実的に描くデッサン力の高さが光ります。
「それが自然になってしまっているので、自分で改めて意識はしていません。SBS学苑で講師もしているんですが、生徒さんにはデッサンがしっかりしていれば油絵だろうと何だろうと生かされると言っています。今回の展覧会も、それが出ていればいいと思いながら制作しました」
▼見た者にショックを与える場合もあるような、独自の世界観はどう選び取られたのですか?
「それが私たちの住んでいる世の中ですから。良いことと悪いことが同居している。楽しいだけの絵だけではなく、両方を兼ね備えた世界を表現したいんです」
▼制作にはずいぶん時間を掛けるそうですね。
「今回の出品作には、2年間掛かったものもあります。発案してから最低でも半年ぐらい。支持体になるものを整えるだけで2週間以上かかる場合もあるんです。売っているキャンバスをそのまま使っているわけではないので」
▼制作期間中に当初の構想やイメージが変容することはないんですか?
「(東京芸大の)学生だった、まだうぶなころはそういう失敗もありました。ただ、卒業後はだいたい決めたとおりに描き上げられています。ただ、(絵の具の)層の薄い表現なので、失敗は許されない。油絵は一般的にやり直しがきくイメージですが、私の場合は古典的な表現なので、失敗した場合にタッチが残ってしまう。主人公をしっかり決めて、ときどき脇役を替えたり位置関係が変わったり。その程度の変更で、うまく(完成に)もっていくんです」
▼構図に時間がかかるのですか?
「描写ですね。バランスを見たり、状態を客観的に見る時間が必要。そうすると1年、2年と経ってしまうんです。もちろん同時進行で複数の作品を制作しているので、そういう意味で時間がかかるということもあります」
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