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藤枝市瀬戸ノ谷、受け継がれる年中行事(上)

 2月12日夕刊の連載「味わう文化財 しずおかの在来作物」は、藤枝市瀬戸谷地区のニンニクの第2回でした。記事に登場した平口家は、江戸時代から続く旧家。14代目の好三さんと妻幸子さんは今も、季節ごとの行事を忠実に行っています。(橋)

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 取材にうかがって手渡されたのが、「我が家の年中行事」と書かれた3枚の紙。それぞれの裏表に、びっしりと行うべきことが記されています。

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 読み込んでいくと、かなり面白いことが書いてあります。例えば8月7日の七夕。「新竹の笹に短冊の色紙を結んで門口に飾る」のは、新暦の七夕と同じですね。ただ、平口家のリストには続きがあります。「40年頃前迄は当日の朝里芋の葉の朝露を集め硯石で墨をすりそれで短冊に願いを書いた」。朝露で願い事を書く。何とロマンチックな行為でしょうか。

 禁忌もいくつかあって、非常に興味深いです。1月8日は1年の山仕事の安全を願う「山八日」。神棚にお神酒とぼたもちを供えますが、この日に山仕事をすると大けがをするそうです。年末の餅つきも、原則12月30日に実施しますが、丑の日、申の日、仏滅に当たった場合は前日または前々日に振り返ます。

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 「どうしてこんなにきちんとやるんですか」。ぶしつけとは思いつつ、質問してみました。幸子さんいわく「ご先祖さまがやり始めたものだからねえ。やめるのもなんだか悪いし。まあ、特に良いことがあるわけじゃないけれど、きちんと行事をやったら安心できるんですよ」。行事が生活に無理なくとけ込んでいる様子がよく理解できる返答でした。

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