中村宏「都市計画」を凝視
浜松市美術館で3月29日まで開かれている「絵画者 中村宏展」に足を運びました。浜松市出身、「ルポルタージュ絵画」「観念絵画」「タブロオ機械」などのキーワードで知られる中村さんの代表作60点。見応えがありました。(橋)
前半のハイライトは1955年から60年までをテーマにした第2章。実際にあった出来事を材に取る「ルポルタージュ絵画」から、写真などを合成する「モンタージュ絵画」への移行期です。
白眉は「都市計画」(1958年)。幅183センチ、高さ92センチの画面は、油彩とグラビア写真、新聞で構成されています。いくつもの顔が並び、「都市」という構造は、無機的なコンクリートの連続ではなく無数の人間の思惑で成立していることを想起させます。
日焼けした新聞に目をこらすと、大変興味深い内容でした。いつぞやの衆院選の候補者がずらりと並んでいるのです。中村さんがそれを意識していたかどうかは別に、後に政界の大物になる人物がずらり。
例えば・・・
新潟3区 田中角栄 40歳 当選6回
香川2区 大平正芳 46歳 当選3回
長崎2区 石橋政嗣 33歳 当選2回
山梨全県区 金丸信 43歳 当選1回
皆さん、気鋭の青年代議士といった雰囲気のがん首写真。絵に近づいて、しばし顔つきに見入りました。
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