駿河塗下駄
佐野さんによると、駿河塗下駄の特色は技術の多様さ。室町時代から江戸時代にかけて、全国から集まってきた職人が伝えた装飾技術が連綿と伝承されてきたんだそうです。佐野さんは記者の質問に答えながら、沈金刀と呼ばれる刀で竜を削り出し、細かく砕いた卵の殻を貼り付けて麒麟を浮かび上がらせます。手元は寸分も狂いません。何かその手つきこそ、静岡の伝統工芸の歴史の表れなんじゃないかと、思わず見とれてしまいました。
また、佐野さんが使っている道具も妖気を放っていました。先代から受け継いだ作業台は長年の作業の過程で少し傾き凹んでいます。50年以上前に作った刷毛はぬばたまのように黒光りし、手作りの沈金刀は押井守さんの映画「イノセンス」の登場人物の拡張パーツのように自由自在に動きます。夢枕獏さんの小説「陰陽師」だったら、ぜったいに手足が生えて踊り出すでしょう。
というわけで、記事は今月10日夕刊に掲載されているのですが、専用アプリを使って本紙紙面の写真を撮影すると、スマホで佐野さんの手仕事と道具を映像で見られます。ぜひご高覧ください。
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