挿絵の魅力

DSC_0003 (2).JPG 静岡市出身の人気若手挿絵画家村田涼平さんの原画展が、しずぎんギャラリー四季で15日まで開かれています。会場には柴田錬三郎や山田風太郎作品の装画とともに、本紙朝刊に連載された葉室麟さんの小説「紫匂う」の挿絵原画もずらり。一画一画鑑賞しているだけで、物語が立ち上がってきます。(小)

 

 村田さんは挿絵を描く際、「文章との距離感を大切にしている」とおっしゃっていました。挿絵は読者に物語のイメージを喚起させながら、イメージを固定させないようにするという難しい役目を負っています。それゆえ、制作時に一番気を使うのが顔の造詣で、けっして「キャラ化」しないよう細心の注意を払っているとのことでした。

 村田さんの作風は明治、大正、昭和にかけて活躍し、泉鏡花作品の挿絵なども手掛けた鏑木清方をほうふつさせます。高校卒業後から住んでいる京都の和菓子のような上品で豊かな作品の色合いは、薄く溶いた絵の具を何度も塗り重ね、理想の色に近づけていきます。

 村田さんによると同世代の時代小説の挿絵画家はほとんどいません。ぜひ伝統を受け継ぎつつ、新しい挿絵文化を切り開いていってほしいです。

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