富士宮やきそば
特集連載「地の味、人の味」で「富士宮やきそば」の元祖とされる富士宮市のマルモ食品工業さんを取材しました。創業者の故望月晟敏氏が開発した巨大なドラム式乾燥機の存在感に圧倒されました(小)。
乾燥機は蒸したばかりのやわらかい麺がつぶれず固まらないように、内部に多数あるくいの、長さや形状が微妙に異なっています。また、入り口と出口では円の直径が違います。いずれも望月氏が業者さんと試行錯誤を繰り返しながら生み出した構造だそうです。
乾燥機をはじめ、効率化のため製麺工程はほぼオートメーション化されているのですが、要所要所で従業員の皆さんが熟練の技を発揮します。分配器手前でベテラン従業員さんが麺が均一に分配されるよう、山を平らにならすその手さばきといったら、まるでクンフーの達人の演舞を見ているようでした(動画で確認できます)。
また、麺を包む袋の絵は、望月律子社長の直筆。手作り感を出したいということで、実は利き手ではない左手で描いたそうです。
マルモ食品工業の麺を使用した焼きそばを参拝客に提供している富士宮浅間大社境内の物産店「ここずらよ」店長滝くるみさんのヘラさばきも見事でした。キャベツに麺と油かすをまぜて炒め、ソースをからめていきます。ソースと麺の焼けた香りをかいだら、思わずおなかが鳴ってしまいました。
「誰かに作ってもらって初めて我々の麺がお客さんの口に入る」というのが創業者の口癖だったそうです。今回の取材では、地元で愛されてきた食べ物にいかにたくさんの作り手の工夫と技が込められているのか知ることができました。
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