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「火花」ひとこと感想

お笑いタレント又吉直樹さんの芥川賞受賞作「火花」の累計発行部数が200万部を突破したそうです。冒頭と結末の舞台が県内の熱海市ということもあり、遅ればせながら、いっちょかみの精神で感想を書きたいと思います。(小)
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 7月26日付の弊紙「大自在」でも紹介されていますが、又吉さんは花火の無差別感に憧れているそうです。一方で、笑いと差別は密接につながっています。差別までいかなくても、思いがけず人を不快にする安易な笑いというものはたくさん存在します。小説後半、主人公は、笑いが取れると思って豊胸手術をしてしまった尊敬する先輩芸人を説教し、差別につながる笑いを嫌悪する理由についてとうとうと語ります。主人公のお笑いコンビ名はスパークス=火花。そして「火花」は無差別に人を喜ばせるという「花火」をひっくり返した言葉。「花火」は又吉さんが笑いという仕事に対する愛憎半ばする気持ちをつづった作品、ととらえることもできます。
 「『笑われるのではなく笑わせろ』は楽屋にとどめておくべき言葉だった」という主人公のセリフは、ダウンタウン以降高度化した、というか無意味さの追求など、いわゆる「脱構築的」なベクトルを強めた、日本のお笑い界の難儀な現状を映し出したセリフなのかもしれません。

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