「富士山」展あさって開幕
富士山の世界遺産登録を記念した特別展「富士山-信仰と芸術-」が5日から県立美術館で始まります。山梨県立博物館との合同で企画された特別展です。2日に、展示作業の様子を取材に行ってきました。(岡)
富士山の歴史は、富士信仰との関わりが深いです。その信仰から派生して仏像、書物、そしてさまざまな美術作品が生まれました。展示室には梱包を開いたそれらの展示物がずらりと並んでいます。そして、その一つ一つの状態を確認しながら、展示作業が慎重に進められています。
この上の写真は、展覧会の注目作品の一つ、鎌倉時代の「遊行上人縁起絵」の第2巻を展示する作業をしているところです。
絵巻物の中のどの部分を展示するのかを決めています。展示ケースの大きさに合わせてメジャーを置いて、「この馬は入れましょうか、ここまで!」と学芸員が細かく指示し、運送会社の美術専門の担当者が少しずつ両端を巻いていきます。ケースに固定する作業も慎重さを極めていました。今から700年以上前に描かれた作品、空や川(海も?)の青色が鮮やかでした。
展示される部分は、駿河から見た富士山を描いた場面です。第8巻には山梨側から描いた富士山が登場し、そちらは山梨県立博物館で展示されるそうです。この縁起絵に登場する富士山はこの二カ所だけ、さらには山梨側の富士山の山頂には、「煙」が描かれているそうです。噴火の予兆を描いたとされます。
学芸員の石上さんは「私たちにとっては姿形が美しいと感じる富士山ですが、昔は噴火も多く、当時の人々には畏敬の存在として富士信仰も広まったのでしょう」とおっしゃっていました。
記事で紹介した「役行者半跏像」も迫力があります。両サイドで役行者の脇を固める仏像も、よくみるとかわいらしいです。
富士山展については、まだまだ興味深いことがありました。またの機会にご紹介したいと思います。ぜひ、県立美術館へ足を運んでみてください。
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