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老舗レストランの閉店

 半世紀前の開店以来、数々の県内文化人が集った、静岡市葵区の老舗フランスレストラン「ジャンティ」が、メートル・ドテル(店の責任者)の久保田敬子さんの死去に伴い、今月いっぱいで閉店します。(小)

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 久保田さんは、日本におけるチーズソムリエの第一人者でした。たまたま6年ほど前、高校での食育講座の取材で久保田さんにお話をうかがったことがあります。短時間の取材にも関わらず、周囲への気配りや食に対する熱意、存在感に圧倒されてしまい、とても印象に残った取材でした。スタッフの中川さんは「お客さんから『(久保田さんが)いない気がしない』と言われる」と話されていました。そうおっしゃる方の気持ちが分かる気がしました。
 またオーナーの小谷田さんは、店を象徴する赤いシャンデリアの下で「お店は私の人生そのもの」とおっしゃっていました。東京五輪が開かれた1964年に会員制サロンとしてスタートした店の歴史をまとったそのせりふは、どんな具体的なエピソードよりもズシリとくる重さがありました。あまりの含蓄の深さに心の中で「こりゃシャンソンの一節みたいだな」とつぶやいてしまったほどです。
 それまで噂に聞くだけで一度も門をくぐったことはなかったのですが、お店を支えた2人のマダムの人生にわずかながら触れられたことは、記者として僥倖でした。

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