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能楽入門公演

 演目を解説付きで観賞するグランシップの「能楽入門公演」を取材しました。観世流の山階彌右衛門さんの解説はとてもわかりやすく、会場の約800人の鑑賞者のみなさんと一緒に自分も身を乗り出して舞台の舞に見入ってしまいました。(小)

DSC_0656 (2).JPG敦盛を舞うシテ

 今回は、武人がシテ(主人公)の「修羅能」のうち、勝者が登場する「勝修羅」の「田村」と敗者が登場する「負修羅」の「敦盛」を比較上演しました。田村の主人公は田村丸(初代征夷大将軍坂上田村麻呂)、「敦盛」の主人公は16歳で討死にした悲運の美少年、平敦盛の亡霊です。山階さんによると、同じ武人のシテでもさまざまな違いがあるとのことでした。公演翌日の記事に書ききれなかったのですが、烏帽子の先端が源氏の田村丸は左曲がり、平家の敦盛は右曲がりと決まっているそうです。手に持つ扇も、勝者の田村丸は日の出の扇、敗者の敦盛は夕日の扇。来ている衣装も田村丸は力強いデザインの厚手の着物なのに対し、敦盛は夏用の「絽」という薄手の上品な着物を着ています。確かに厚着の幽霊って、俊敏な幽霊、饒舌な幽霊などと同様、あんまり雰囲気出ませんよね。また世阿弥登場以前の能は勇ましい「修羅の心」による舞だったけれども、世阿弥が「花鳥風月の心」を注入し、「敦盛」のような幽玄な舞が生まれたと山階さんはおっしゃっていました。ざっくばらんに言って「能楽鑑賞=眠くなる」という図式がこの世には存在すると思うのですが、 細部が理解できてくると俄然面白くなるのは、どんな芸術鑑賞にも言えること。今度能を見るときには、もう眠りませんよ、きっと。

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