「縫い」あれこれ
静岡市内の着物専門店「夢や」の店主、日比野鈴子さんが先日、江戸着物をはじめ、「縫い」をテーマにした展覧会を開かれました。100年以上も前の古い着物は日比野さんの修復、保存によって当時の鮮やかさを保っています。中でも江戸時代、武家の女性が身に着けた打ち掛けは、とても華やかでした。(岡)
打ち掛けは今では、結婚式に花嫁さんが羽織るハレの日の衣装として知られていますが、江戸の当時は、武家の女性が来客時にさっと羽織る上着のような存在だそうです。触れてみると、とても軽い。上流階級では日常的な衣装だったことが分かります。
他にもすてきな帯がありました。下の写真のチョウはどこか、リアルで絵画的です。
こちらの額装は、半えりの刺しゅう部分を飾ったものです。真紅の生地にツルが映えます。こちらもおめでたい席で身に着けられたものでしょう。
日比野さんは日本だけでなく、世界の刺しゅうも収集されています。こちらはスロバキアの刺しゅう。下の写真は日本の刺し子。どこか通じるものがあります。
こちらの絵画はベトナムのものです。写真のようですが、これも刺しゅう。水面の輝きが美しいです。
最後は中国の纏(てん)足です。こんなに小さいものです。
靴底にも刺しゅうが施されています。かかとが磨り減っているのをみると、実際に履いたものと思われます。とても細やかな刺しゅう。当時の女性に強いられた風習に何か複雑な思いを感じました。「縫う」という文化は古代メソポタミア文明から世界中に伝わり、さまざまな形で生活を彩り、発展してきたそうです。その流れを感じさせる充実した展示でした。
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