重力波初観測
アインシュタインがちょうど100年前に一般相対性理論で予測した重力波の観測に、国際実験チーム「LIGO」が初成功しました。国内でも重力波望遠鏡「かぐら」が来年度に稼働を始めます。今後の宇宙物理学界から届く最新の研究成果が待ちきれません。(小)
重力波は、ブラックホールのような非常に重い物体が激しく動く際に生じる時空のゆがみで、一方向の時空を伸長させ、垂直の時空を縮小するさざ波のように伝わる現象とされます。これまで各国の宇宙物理学者が観測を競い合ってきました。
米国に観測装置を置くLIGOが観測したのは、地球から13億光年離れた2つのブラックホールが合体したときに放たれたものだそうです。観測装置本体からレーザーを2方向に発射し、4キロ先の鏡に反射させ、戻ってきた光の到達速度の差異を図りました。ただ、ゆがみの生じ方は極めて微細で、直接観測するには、高性能の巨大な観測装置を用い、数々のノイズを除去する必要がありました。研究グループが観測した昨年9月から5カ月たって発表したのも、ノイズ除去の必要があったからだそうです。
重力波の観測により、水素やヘリウムに邪魔されて光や電波で観測できなかった「初期宇宙」の様子などが観測できると期待されています。本紙朝刊に、村山斉東京大カブリ数物連携宇宙研究機構長が「まったく予想できなかった驚きの現象が見つかる可能性もあり、これから面白くなるという期待で興奮している」とコメントを寄せています。第一線の専門家が他の研究グループの研究成果にこれだけ胸を躍らせている発言というのも珍しいのではないでしょうか。
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