みゆき菜
木曜夕刊の旅食面で毎月上中下3回ずつ県内各地の在来作物を紹介してきた「味わう文化財」も今月が最終章です。この連載は2年前、(橋)記者が、静岡市葵区井川のおらんど(ジャガイモ)を紹介して、幕を開けました。3日に始まった最終章も井川にお邪魔しています。在来のからし菜をめぐる女性たちの物語です。(小)
同地区で暮らす荒尾蓉子さんが大切に栽培してきたからし菜は、しゅうとめのみゆきさんから受け継いだものです。70年以上前から毎年9月下旬に種をまいてきたそうです。みゆきさんは生前、「この種だけは毎年収穫して」と、ことあるごとに伝えたといいます。教えを守り、みゆきさんが亡くなった後も、毎秋種をまいてきた蓉子さんは「頭が良くて、賢いしゅうとめさんだった。実の娘のように接してくれた」と、みゆきさんを懐かしんでいました。今、蓉子さんたちはこのからし菜を「みゆき菜」と名付け、商品化に向けて準備を進めています。
限られた種を守り続ける在来作物の持続的な栽培には、家や台所を守る女性が大きな役割を果たしているケースが多々あります。次回は、この種を受け継いだ別の女性が登場します。残り2回、どうぞおつきあいください。
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.at-s.com/mt1/mt-tb.cgi/55308