浮世絵の赤

 先月末、夕刊「学芸員ひと目ぼれ いいモノカタチ」コーナーでおじゃました静岡市東海道広重美術館(清水区)では現在、浮世絵の赤をテーマにした展覧会を開催中です。浮世絵の赤色には、天然染料である紅(紅花)が主に用いられたそうです。江戸の当時、赤色は高級品。一枚の浮世絵の中にわずかに使われるだけ。それでも、画面全体がとても華やかになります。作品名や人物名を示す部分にも使われたそうです。(岡)

広重美術館.JPG

 

 学芸員の方に説明いただいた中で、印象的な作品をいくつかご紹介します。 

 こちらは、歌川広重の江戸名所百景のひとつ「浅草田浦酉の町詣」。浅草田浦は吉原で働く女性の控所だったそうです。格子越しに外を見る猫、湯上がりの手ぬぐい、そして、かんざし。猫が見ているのは祭り帰りの行列。遠くには富士山が夕焼け空に映えています。

 ひろしげ.JPG

 こちらは、歌川広重と歌川豊国が描いた菅原道真。太宰府に流された道真のもとに梅の枝が飛来した「飛梅伝説」を描いたものだそうです。梅の枝を口にくわえた姿はりりしいですね。勝手な解釈ですが、浮世絵にはストーリーがあるような気がします。庶民の生活、願いを表し、とても情緒、哀愁があります。

 

みちざね.jpg 美術館があるのは由比宿本陣跡。その入り口に、かわいらしい姿がありました。
 

 

美術館入り口.JPG

かめこ.jpg 取材した日は雨が降りしきり、肌寒さもありました。一つの石に肩、ならぬ、甲羅を寄せ合う姿がほほ笑ましかったです。おしくらまんじゅう、ではなく、仲良くたたずんでいました。居心地が良いのですね。展覧会は3月31日まで。

 

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