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「絶景」観賞のヒント

 特集連載「ソノ仕事×コノ絶景」で県立美術館の主任学芸員浦沢さんと現在開催中の30年記念展「東西の絶景」を紹介しました。同展では、風景画を主題にした収蔵コレクションの代表作品を第1~第5章に分けて展示しています。取材時には、日本と西洋の名品が並ぶ第1~第4章だけでなく、寄贈作品や付属品など、普段鑑賞機会の少ない収蔵品をまとめた第5章についてもいろいろ教えていただきました。(小)

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 「富士山登龍図」は、1852年に京狩野の狩野永岳が、幕末の大政治家だった彦根藩主井伊直弼の命で描いた作品と伝えられています。今回は、その由来が記された箱の裏書きが作品と一緒に並んでいます。井伊直弼の御前で永岳が揮毫し、井伊家に仕えた医師中島宗達が拝領し、家宝にした旨が記されています。ちなみに直弼はそれから8年後、桜田門外の変で討たれました。
 また、一緒に展示されている古い軸芯には、作品に表装を施した職人の名前も記されています。当時作品の購入担当者だった学芸員の方は、この職人の手掛かりを尋ねて、彦根まで赴いたそうです。

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 同館最初期に譲り受けた寄贈品コレクション「小杉文庫」も同じコーナーに展示されています。中には、奈良時代徴税台帳の一部「天平四年山背国愛宕郡計帳断簡」など重要文化財も含まれています。「明月記」の断簡は、なんと藤原定家の直筆です。

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 素人の私などからするとちょっとマニアックな展示品が第5章には並んでいますが、「絶景」とは、鑑賞する人の視点や視線にもよるのだと、あらためて考えさせられました。東西の名画をより豊かな遠近法で観賞するためのヒントが、第5章には示されています。

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