「『美の森』30年」
5月30日から6月3日までの夕刊紙面で、設立30年を迎えた県立美術館の歩みを振り返る連載を、文化生活部で執筆しました。(小)
県美の優れた点について、取材に応じていただいた大勢の方が、異口同音に研究重視の姿勢と優品の多いコレクションであるとおっしゃっていました。泉万里学芸部長は両者を「館の底力」と表現しました。
現在開催中の「東西の絶景」(6月19日まで)も、その底力をいかんなく発揮している展覧会です。5月17日からの後期展では、横山大観の「群青富士」、狩野芳崖「寿老人図」など日本画の逸品に出合えます。橋本雅邦の「三井寺」は、当時購入を担当した山下善也東京国立博物館主任研究員が、5月の記念講演で、「生き別れた子に会いたい一心で寺の階段を上る女性の、切迫した顔の表情と切れた鼻緒が印象的」と魅力を語られていました。確かに作品を前にすると、オーラというか鬼気にあてられます。
自分にとっても県立美術館は、小学生時代から折に触れて訪れた美術の原風景ともいうべき場所。未来の子どもたちにとっても、「本物」に触れる貴重な場であり続けてほしいと願っています。
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.at-s.com/mt1/mt-tb.cgi/56538