「グッド・フライト、グッド・ナイト」
旅客機パイロットが空の旅を記したノンフィクション「グッド・フライト、グッド・ナイト」(早川書房)。日本語訳を担当された小山町在住の翻訳家、岡本由香子さんが翻訳の舞台裏を語る催しが静岡市内で開かれました。6月中旬、夕刊の「こち女」面でご紹介してから、待望の会でした。(岡)
原題は「SKYFARING」。「空の旅」という意味の、パイロットの著者が考えた造語だそうです。日本語版出版に当たり、日本人には伝わりにくいから、と付けられたタイトルが「グッド・フライト、グッド・ナイト」。管制官やパイロットが交信を終える際に、日中は「グッド・デー」、夜は「グッド・フライト」と言うそうです。
元航空自衛隊の管制官でいらっしゃった岡本さん。その管制のやりとりも会場で聞かせていただきました。テキパキ余断のない交信。「女性の声は周波数が高いから優位だった」という話されていた意味が分かりました。
空や航空機の知識満載、管制官出身の岡本さんならではの見識や配慮が詰まった一冊だと知りました。原文を訳す時、逐語訳ではうまくいかない。英語から即日本語へ訳すのではなく、原文を読み、頭にその情景を描くそうです。絵をイメージできて初めて日本語にできる。日本語の表現力も相当求められます。事実関係を確認するために関連書籍を20冊くらい読んだそうです。
空に憧れを持っている人は多いでしょう。コックピットから見える地上、自然現象など、詩的な言葉があちこちにちりばめられ、本を読みながら世界を俯瞰(ふかん)しているような、そんな気分にひたれる1冊です。
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.at-s.com/mt1/mt-tb.cgi/56865