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名ピアニストにして、名文家

 ピアニスト中村紘子さんが先日、72歳で亡くなりました。文化生活部の本棚に元同僚の置き土産で、中村さんのエッセー(中公文庫)が3冊あります。国際ピアノコンクールの舞台裏から世界のクラシック界の潮流まで、鋭い考察が平易な文体でつづられています。『チャイコフスキーコンクール』は大宅壮一ノンフィクション賞受賞作。あらためて存在の大きさに気付かされました。(岡)

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 『コンクールでお会いしましょう』は、浜松国際ピアノコンクールにも触れられています。海外での豊富な審査経験を踏まえ、浜松への深い愛着が伝わってくるようでした。ヴァン・クライバーン、ブーニン、ヘルフゴットまで、時代を席巻したピアニストたちの評は懐かしい気持ちになりました。

 『どこか古典派』によると、ソニーが最初に発売したCDの中に、中村さんのグリーグのピアノ協奏曲もあるそうです。「ウォークマン」の商品化を悩む盛田昭夫さんを後押しした一曲だとか。ちょうど8月末に清水で児玉桃さんが、11月には富士で仲道郁代さん(浜松市出身)がグリーグのピアノ協奏曲を演奏されます。

 中村さんといえば、やっぱりショパン。『どこか古典派』で長寿のピアニストが多いという下り、「百歳を超えた私はショパンの幻想即興曲ばかり弾いていることになるのかしら」という言葉が心に残ります。ご冥福をお祈りします。

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