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御宿至「根源の旅~記憶の風景~」

 日伊両国で長年活動を続けている彫刻家御宿至さんの個展「根源の旅~記憶の風景~」が、静岡市葵区の金座ボタニカで開かれています。新作「根源の旅」は、本人が「空間を創出するという点で彫刻の延長にある」と言うインスタレーション。アトリエのある富士宮市内の農家から譲り受けたツツジの「根」を素材に選んでいます。(小)

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 メインの作品は、備長炭を敷き詰めた直径3メートルの円の中央に、高さ1・2メートルの根を、逆さに据えています。歩いているようにも見える根は、あえて接着剤などを用いず、置いてあるだけです。御宿さんは「30日間耐えてくれ」と祈りながら、立てる位置を決めたそうです。

  壁には、過去に発表した作品の一部である3枚の正方形の白いベニヤ板が飾られています。そしてそこから神経細胞のように細かく伸びた根が飛び出ています。中央の板には、焙烙皿を装飾しています。何十年も実家でお盆の迎え火や送り火に使われてきた皿だそうです。「焙烙皿を用いた過去の作品を再生させることで、『終わりのない旅』を表現しようと思った」と御宿さんは語られていました。
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 インスタレーションの会場はほのかな灯りが差し込み、淡い陰影が浮かび上がっています。会期前半に行われた白井嘉尚静岡大教授との対談では、谷崎潤一郞の「陰影礼賛」に登場する薄暗い室内と漆喰のようかんを例に挙げ、日本人の光と影に対する感覚の鋭さについて言及していました。
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 過去、地下、影、記憶といった、目に見えないものが展示空間に現れています。

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