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駅弁販売一筋半世紀 いなりずしで知られる「祇園」の稲葉光雄さん~しずおか駅舎探訪(4)伊東駅

伊東駅①.JPG7月6日夕刊「旅食」に連載した「しずおか駅舎探訪」第4回は伊東駅です。伊東駅に店を出して58年の駅弁店「祇園」の名物店員・稲葉光雄さん(80)が今回の案内人です。(旭)

伊東駅②.JPG伊東駅の改札口を出て左側少し行くと祇園の売店は、立ち食いそば店が併設されています。どちらとも改札口の外からも中からも購入できる構造です。取材したのは平日の午後2時ごろでしたが、そばをすするサラリーマンや、近所の人がいなりずしを買い求めに来る姿が見られました。

伊東駅③.JPG伊東の駅弁といえば、名物のいなりずし。映画の活動弁士だった初代の守谷定一さんが1946年に創業。奥さまの母親の実家が稲荷神社だったことにちなんでいなりずしの製造を始めました。「祇園」の屋号は「京都の祇園のようにお客さんが集うように」という思いを込めたそうです。伊東駅に進出したのは、1959年。江戸や明治時代に創業した駅弁店も多い静岡県内では、比較的新しいお店です。

伊東駅④.JPG勤続半世紀を超えるベテラン販売員の稲葉さんは80歳の今も、週5日・4時間、この店に立ちます。伊豆急行が開通した1961年以前の伊東駅の様子を知るのは社内でも稲葉さんくらい。「伊豆急が開通する前は、ここでみんな伊豆半島各地へ行くバスに乗り換えた。そりゃ、すごい人でしたよ」と懐かしみます。その当時は、立ち売りの台に60個のいなりずしを積んでも、1列車のお客さんで完売したとか。
その時に培った瞬時の計算力は今も健在。「お客さんが千円札を見せたら、すぐにお釣りが出せるように手に小銭を準備する。頭も使うし、元気の秘けつですよ」と笑います。

伊東駅⑤.JPG紙面でもご紹介したのが、このポリ容器入りのお茶(130円)。伊東市に本社を構える「杉山製茶」のぐり茶を使っています。祇園の守谷匡司社長によると、祇園がポリ容器のお茶を販売する際に依頼したのがきっかけで、杉山製茶もティーバッグ茶を製造するようになったのだとか。一般的なお茶ではなく、ぐり茶を選んでいるのも「観光客に地元の名産を楽しんでほしい」という思いからだそうです。

伊東駅⑥.JPG注文すると、その場で稲葉さんがお湯を注いでくれます。私も十数年ぶりにポリ容器のお茶をいただきました。ちょっと飲みにくい小さなキャップの湯飲みも、また懐かしいです。
稲葉さんにこの仕事の醍醐味を聞くと、「お客さんに『おじさんにまた会いに来たよ』と言われるのが、一番うれしいかな」とはにかみました。名物のいなりずしとともに、稲葉さんにはいつまでもお元気でお店に立っていてほしいと願います。

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